2017/02/15

学校法人における不正会計 3

 前回は、不正の発生を未然に防止するために必要となる学校法人におけるガバナンスについて解説しました。私立学校法上規定されている理事会など各機関の特徴と理事を監査する立場にある監事機能の問題点について理解されたかと思います。今回は、学校法人における不正について公認会計士等がどのような視点で不正リスクの把握とその対応を行っているかについて解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 公認会計士等による学校法人特有の不正リスクの把握
 私立学校法は、公認会計士又は監査法人(以下、「公認会計士等」とする。)といった学校法人外部者による監査に関する定めを設けていませんが、私立学校振興助成法では、公認会計士等による学校法人に対する監査の定めがあり、理事や教職員などによる不正の発見について積極的な関与が求められています。すなわち、公認会計士等が監査を行うに当たり行為規範とされている「監査基準」(平成22年3月26日最終改訂 企業会計審議会)において、「監査人は、監査の実施において不正又は誤謬を発見した場合には、経営者等に報告して適切な対応を求めるとともに、適宜、監査手続を追加して十分かつ適切な監査証拠を入手し、当該不正等が財務諸表に与える影響を評価しなければならない。」(第三 実施基準 三 監査の実施6)と定めており、公認会計士等は、不正を識別し、又は不正が存在する可能性があることを示す情報を入手した場合は、これらの事項を速やかに理事や監事へ報告することが求められています。

2017/02/08

学校法人における不正会計 2

 前回は、学校法人における不正会計の事例、対応策について解説しました。今回は学校法人におけるガバナンスについて解説します。学校法人における不正を考える場合に、そのガバナンス(統治)について理解する必要があります。すなわち、私立学校法上定められている、理事会、理事長、理事、監事及び評議員会といった機関のそれぞれの特徴と責任を十分に理解することが重要です。特に監査機能を担う監事の特性については十分な留意が必要です。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。


1 学校法人におけるガバナンス

(1) 私立学校法における規定
 学校法人は、私立学校法に基づき設立された法人であり、私立学校の設置主体として公共的な性格を有するとともに、自主的・自立的な管理運営を行う上で、各学校法人の規模等に応じたガバナンスを構築する必要があります。学校法人のガバナンスを担う各機関の業務については、私立学校法上、次のように定められています。

2017/02/01

学校法人における不正会計 1

 今週から4回に分けて、学校法人における不正会計について解説していきます。最近、大企業において「粉飾決算」「不正会計」「不適切な会計処理」といった言葉が報道されることが多く、これが一般的な出来事になりつつあり、会計監査を仕事としている私たち公認会計士からするとよい風潮ではありません。もちろん不正会計が行われば、それを防止するための施策が企業内に組み込まれますが、また新たな手口で不正が行われます。

 大企業ばかりではなく、学校法人においても不正会計が報道されています。その多くは経費の不適切な支出や保護者等からの預り金を管理している周辺会計における不正です。今回のコラムでは、学校法人における不正会計の事例、特徴や対応策などを中心に解説していきます。なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

2017/01/25

内訳表について 4

 前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、人件費支出の取扱いについて解説しました。250号通知においては、人件費支出について「貼り付け」と「学校法人」部門の職員人件費支出の取扱いが特徴的な点であることを確認して頂けたことと思います。今回は、主に各部門間又は各学部・学科間等に共通する収支に関する配分方法について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 250号通知では、各部門間又は各学部・学科間等に計上又は配分する収支に関し、以下のとおり定めています。

2017/01/18

内訳表について 3

 前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、主に「学校法人」部門の業務の範囲と「学校法人」部門に計上する収入額及び支出額について解説しました。250号通知における会計上の「学校法人」部門と実際に各学校法人に設置される組織上の法人本部の業務とは必ずしも一致していないことを改めて確認して頂けたことと思います。今回は、250号通知における人件費支出の取扱いについて解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 250号通知においては、人件費支出について以下の取扱いを求めています。

2017/01/11

内訳表について 2

 前回は、資金収支内訳表や人件費支出内訳表、事業活動収支計算書(以下、資金収支内訳表等といいます。)において、部門をどのように設定するのかについて解説しました。今回は、設定した部門(特に学校法人部門)において、収入・支出をどのように計上するのか解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 資金収支内訳表等における収入・支出の把握については、「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)において定められています。250号通知は以下の3点に要約されます。

2017/01/05

内訳表について 1

あけましておめでとうございます。いつも「学校会計のチカラ」をご覧いただきありがとうございます。本年も引き続き皆様の役に立つ情報を連載していきたいと思います。どうぞご期待ください。

 新年第1回目は、資金収支内訳表を中心として、人件費支出内訳表や事業活動収支内訳表等の内訳表の作成について解説したいと思います。

 資金収支内訳表や人件費支出内訳表、事業活動収支内訳表は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)において作成が求められる内訳表ですが、このうち資金収支内訳表の作成の趣旨及び留意点については、「資金収支内訳表について(通知)」(文管振第93号 昭和47年4月26日 文部省管理局通知)において、以下のように述べられています。