2016/09/28

基本金について9

 前回は、基本金の会計処理について、各号ごとに基本金の組入対象額と取崩対象額の全体を把握したうえで、最終的に基本金が組入額となるのか取崩額となるのか、そのながれを解説しました。基本金の計算は、法人全体で計算するケースのほか部門別に計算するケースもあり、さらに複雑なパターンもありますので、まずは基本的な処理を十分に理解しておくことが必要です。2か月にわたる基本金の解説の最後は、基本金の修正と基本金明細表、基本金に関する注記などについて解説したいと思います。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。
 基本金の修正とは、過年度の基本金の計算に誤謬があった場合に正しい額に修正することをいいます。この場合、修正に伴う基本金の増減額は、修正を行う年度において基本金の組入対象額又は取崩対象額に含められます。したがって、過年度に基本金の過大計上があった場合には当該修正額を取崩対象額に含め、また、過小計上があった場合には当該修正額を組入対象額に含めて把握します。その後は、前回解説した手順により最終的に事業活動収支計算書において、基本金が組入額となるのか取崩額となるのか算定されることになります。

2016/09/21

基本金について8

 前回は、基本金の取崩しの概要について解説しました。基本金の取崩しは平成17年の学校法人会計基準(以下、基準といいます。)の改正により学校法人からするとかなり自由に行えるようになったため、安易な組入れや取崩し(特に第2号基本金と第3号基本金)が行われないよう、理事会等により慎重かつ厳格な判断を行うことが求められます。今週は基本金の取崩しの続きです。なお、文中意見にわたる部分は、筆者の私見であることをお断りしておきます。

 これまで、基本金の組入れと取崩しの概要について解説しましたが、最終的な基本金の計算は組入対象額と取崩対象額の全体を把握したうえで行うことは、前回冒頭で解説したとおりです。今回は、その具体的な方法について各号の基本金ごとに解説します。

2016/09/14

基本金について7

 先週は、第4号基本金について解説しました。第4号基本金は、他の基本金と異なり、具体的に基本金の対象資産を特定していないものの、第4号基本金に相当する資金の保有状態を計算書類に注記することを求め、現実的な資金の保有を担保させています。今回は、基本金の「取崩し」について全2回にわたり解説します。基本金の組入れ対象額と取崩し対象額は、最終的に基本金ごとに相殺され、組入れか取崩しかの判断を行いますので、基本金の取崩しについても十分に理解することが必要です。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 従来、学校法人が設置する学校を運営していく上で少子化の進展など近年の社会経済情勢の変化に伴ってキャンパス統合や資産の整理・合理化が進められても、基本金は校地や校舎及び設備などの必要な資産を継続的に保持するという趣旨を厳格に適用し、学校法人が設置する学校や学部、学科の廃止又は定員の減少など量的規模が縮小される場合を除いて基本金の取崩しは禁止されていました。また、固定資産の取替更新時において、当初の取得価額より少ない金額で更新することができた場合でも、基本金は「諸活動の一部又は全部の廃止」を伴わないため取り崩すことができず、繰り延べを行うほかありませんでした。このため、基本金の繰延高に見合った固定資産が追加で取得されない場合、繰延高が何年も解消されず、必要な基本金を維持すべき水準と実際の組入済の額との間に乖離が生じ、学校法人の経営状況を適正に表示しているとは言えない状況でした。

2016/09/07

基本金について6

 前回は、第3号基本金についてその概要を解説しました。第3号基本金は、第2号基本金と同様、理事会等による慎重かつ厳格な決議のもと認められる基本金であることがお分かり頂けたと思います。それでは、今週は第4号基本金について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 第4号基本金の組入れ対象資産は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)第30条第1項第4号に以下のとおり定められています。

第30条第1項第4号 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額

2016/08/31

基本金について5

 前回は、第2号基本金について、その概要を解説しました。第2号基本金は、第1号基本金の先行組入れとして、取得年度に先行して年次的、段階的に基本金の組入れを行うことにより基本金の組入れの平準化を図ること、また、必要な資金をあらかじめ確保しておくことを目的に設定される基本金であることがお分かり頂けたと思います。それでは、今週は第3号基本金について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 第3号基本金の組入れ対象資産は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)第30条第1項第3号に以下のとおり定められています。

第30条第1項第3号 基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額

2016/08/24

基本金について 4

 前回は、第1号基本金について、その概要を解説しました。第1号基本金は、他の基本金に比べ論点も多く、1回で完全に理解することは難しい科目ではありますが、まずは要組入高や組入高、未組入高など大まかな概念をご理解頂けたのではないでしょうか。今週は第2号基本金について解説します。第2号基本金は、第1号基本金の先行組入れとして、第1号基本金と密接に関連していますので、第1号基本金の組入高とあわせて理解することが重要です。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 第2号基本金の組入れ対象資産は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)第30条第1項第2号に以下のとおり定められています。

2016/08/17

基本金について 3

 前回までは基本金の全体像を理解して頂くために、2回にわたって基本金の概要と意義について解説しました。基本金制度は、学校法人がそれぞれの建学の精神にのっとって、教育研究活動を行うために必要な資産を継続的に保有し、維持し続けることを担保するために重要な制度です。   
 基本金に組み入れられる金額は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)第30条第1項第1号から第4号までに定められていますが、これを一般に基本金対象資産と呼んでいます。また、基準第30条第1項第1号の規定によって組み入れられた基本金を第1号基本金といい、以下同様に第2号基本金、第3号基本金、第4号基本金といいます。基本金は、基本金組入対象資産の額を会計上で組み入れたものに過ぎず、私立学校法施行規則における基本財産と異なり、資産自体を指すものではありません。いわば、基本金に組み入れられた金額は、学校法人が最低限保有していなければならない財産の額を示しているといえるでしょう。