2015/12/23

補助金のポイント(2)

今年最後の学校会計のチカラは、先週の続きで補助金を考えていきます。


1.補助金の取扱い

 学校会計における補助金収入は、①国又は地方公共団体からの助成金、②国又は地方公共団体からの資金を源資とする間接的助成金である日本私立学校振興・共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金に限られます(学校法人委員会実務指針第39号)。

2015/12/16

補助金のポイント(1)

12月後半2回の学校会計のチカラは、補助金について考えていきます。今週は、私学助成の概要と科研費です。補助金の具体的な会計処理は来週取り上げます。

1.私学助成の目的

 我が国の学校教育のうち、私立学校の占める地位は極めて重要です。私立学校数は文部科学統計要覧(平成27年版)によると、15,701校(内訳:大学603校、短期大学334校、高等専門学校3校、特別支援学校14校、中等教育学校17校、高等学校1,320校、中学校777校、小学校222校、幼稚園8,142校、専修学校3,001校、各種学校1,268校)であり、教育制度の根幹を支えています。

 私立学校の教育条件は国公立学校と比較して格差があり、その典型例が一人あたりの教育費や納付金です。近年は少子化や消費増税の影響を受けて私学経営は厳しい環境にありますが、単に収容定員の増加や学納金の増加のみでは解決しません。収容定員の増加は収入増加になりますが、その反面、教育水準の低下をもたらす場合があるからです。私学経営には、財政と教育の質の調和を図ることが求められています。この問題に対処するために、昭和50年、「私立学校振興助成法」が制定され、国の基本的姿勢と財政援助の基本的方向を示して、財政援助についての法的保障のもとに学校経営の安定化のため、国を挙げた取組みで今日まで私学を支えてきました。

2015/12/09

寄付金のポイント(2)

今週の学校会計のチカラは、先週に続いて寄付金を取り上げます。

1.平成25年改正の学校法人会計基準の影響
 学校法人会計基準の一部を改正する省令(平成25年4月22日文部科学省令第15号)が公布され、平成27年度より新基準が適用されています。知事所轄学校法人については平成28年度からの適用となります。新しい学校法人会計基準の適用により導入された活動区分資金収支計算書では、用途指定のある寄付金で施設設備目的の場合は、施設整備等活動による資金収支(施設設備寄付金収入)に区分します。他方、用途指定のある寄付金で施設設備目的以外の場合は、教育活動による資金収支(特別寄付金収入)に区分します。また、用途指定のない寄付金は、教育活動による資金収支(一般寄付金収入)に区分します。

 新基準では、近年の学校の施設設備の高度化を受けて、当年度の施設設備の取得や財源の内容を1つの区分に集約して収支を容易に把握できるようにするために、施設整備の活動を1つの活動区分として規定しました。これを受けて、施設整備目的で受領した寄付金は「施設整備等活動による資金収支」に区分します。区分を明確にするため、あらかじめ寄付金募集要項や趣意書で寄付区分を明示しておくことが望まれます。

以下は、寄付の内容に基づいて区分した一覧表です。




2.寄付金の利用方法
 学校法人に対する寄付金については、公益性から各種の税法上の優遇措置がとられています。これらの制度は、学校法人等の公益法人への寄付を行う者に対して税を軽減することで寄付の促進を図ることが目的です。

① 特定公益増進法人である学校法人に対する寄付
 私立学校法第3条に規定する学校法人及び同法64条第4項の規定により設立された学校法人は、特定公益増進法人に該当します。特定公益増進法人に対する寄付金は、学校法人の主たる目的である業務に関連するものとされていますが、この関連性については、その法人の募金趣意書、事業計画書、募金計画書の写し等を総合勘案して判定します(基本通達・法人税法9-4-7)。特定公益増進法人に該当するかどうかは、学校法人の所轄庁が判定して、証明書をその法人に交付することになります。
 寄付をした個人が寄付金控除の適用を受ける場合には、学校法人から証明書の写しの交付を受けて、所得税の確定申告書提出の時に添付します。個人が特定寄付金を支出した場合、以下の算式により計算します。


※特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度です。

② 学校法人に対する寄付の税額控除
 平成23年度税制改正において、個人が一定の要件を満たした学校法人に対して寄付した場合、寄付金額の約40%を所得税額から控除する制度が創設されました。
 上記①の所得控除の制度とは異なり、各寄付者の所得税率に関係なく、所得税額から直接寄付金額の一定割合を控除できるため、減税効果が高いことが特徴です。
 以下の算式により計算します。


(※1)控除対象額が所得税額から控除されます。
(※2)税額控除対象寄附金は、総所得金額の40%が限度となります。

学校法人において求められる要件として、以下のいずれかを満たす必要があります。

(要件1):3,000 円以上の寄附金を支出した者(判定基準寄附者数)が、平均して年に100 人以上いること。ただし、実績判定期間内に、設置する学校等の定員等の総数が5,000 人未満の事業年度がある場合、当該事業年度の判定基準寄附者数は(ア)の通り計算し、かつ(イ)の要件を満たすこと。

(ア) 判定基準寄附者数=(実際の寄附者数×5,000)÷ 定員数の総数(当該定員等の総数が500未満の場合は500)
(イ) 寄附金額が年平均30 万円以上

(要件2):経常収入金額に占める寄附金収入金額の割合が、1/5 以上であること。


③ 日本私立学校振興・共済事業団が扱う受配者指定寄付金
 受配者指定寄付金は、日本私立学校振興・共済事業団が寄付を受け入れて、寄付者は寄付先の学校法人を指定する制度であり、私立学校の教育研究の発展を目的としています。指定された学校法人は日本私立学校振興・共済事業団へ交付申請することで寄付金を受け取ります。
 寄付者が法人の場合、その法人の所得の金額の計算上、当該寄付金の全額を損金に算入することができるため、学校法人にとっては寄付の募集活動に役立ちます。
 寄付者が個人の場合、課税所得金額の40%を限度として、寄付金控除(所得控除)を受けることができますが、上記①の制度と同じ措置になるため、原則として取り扱わないものとされています。


  【参考文献】
     学校法人会計入門     (中央経済社、齋藤力夫)
     学校法人会計のすべて  (税務経理協会、齋藤力夫)

                                                    (公認会計士 佐 藤 弘 章)

2015/12/02

寄付金のポイント(1)

 12月の学校会計のチカラは、寄付金と補助金について考えていきます。前半の2回は寄付金です。

1.寄付金の意義
 寄付は善意に基づく寄付者が財産を無償で拠出する行為であり、反対給付を伴わないため、贈与の性質を有しています。寄付者からの一方的な給付であるため、寄付者から財産が提供されたときに寄付が成立します。

 学校会計における寄付金収入とは、「金銭その他の資産を寄贈者から贈与されたもので、補助金収入とならないもの」をいい(学校法人委員会実務指針第39号)、学校法人は無償で財産を譲り受けることができるため、重要な財源となります。寄付金は、入学者又はその関係者から収受するもののほか、他の者(例えば、卒業生や企業)から収受するものも含まれます。

2015/11/25

周辺会計について


 今回は、学校法人における生徒会やPTA等いわゆる周辺会計の取扱いについて検討しましょう。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 周辺会計は学校法人によって様々な名称で存在していますが、一般的に在学生で構成される生徒会や学友会、在園・在学生の保護者を中心として構成されるPTAや父母の会、卒業生等で構成される同窓会、その他後援会や互助会等が想定されます。また、部活動に関し、部員から学納金とは別に部費を徴収している場合には、周辺会計として把握することも考えられます。

 生徒会等の周辺会計は、独自の規定や会則にしたがって運営されている場合、学校法人とは別個独立した団体と考えられます。このため、学校法人では周辺会計が学校法人とは別個独立した団体であり、直接関係がないことを理由として周辺会計の管理に全く関与していない場合も少なくありません。しかしながら、周辺会計は一般的に「学校法人○○学園生徒会」等、名称の一部に学校法人名が付され、かつ、周辺会計の経理や通帳もしくは印章を学校法人の教職員が管理している場合も多いため、学校法人と全く関係のない団体とも言い切れません。また、周辺会計で何らかの不祥事が発生した場合、学校法人でも管理責任を問われる可能性があるほか、不祥事によるイメージの悪化に伴い、受験生が減少する可能性もあります。したがって、学校法人は周辺会計に係る管理責任を果たすために一定の関与が求められるのです。

 以下は、筆者が学校法人による周辺会計の管理を容易にするために考えた一覧表です。表中の日付は入手日やチェック日を記載します。



 生徒会等の周辺会計は、規定や会則等により通常年1回の決算があり、会長を始め会計担当や監事がいることが一般的です。このため、学校法人としては少なくとも毎年決算書や次年度の予算書、監事の監査報告書を入手するとともに、預金通帳のコピーを入手し、預金通帳の残高と決算書の次期繰越高が一致していることを確かめます。また、収支簿と領収書綴りとの突合や支出決裁書のチェックについては、それぞれの周辺会計のリスクを勘案の上、例えば数年に1回行うなど適切なモニタリングを実施することが考えられます。なお、周辺会計のリスクを評価するにあたっては、以下の事項を考慮することが必要です。


<留意事項>


・ 周辺会計の経理を長期間1人又は限られた人間が行っている。

・ 通帳と印鑑を同一人物が管理している。

・ 通帳残高と決算書の次期繰越残高が一致していない。

・ 決算総会が行われていない。

・ 預金残高があるにもかかわらず、会が休眠状態となっている。

・ 合理的な理由なく、収入総額に対して支出総額が少なく、年々預金残高が増加している。

・ 合理的な理由なく、現在の活動に比して多額の現金預金残高を保有している。

・ 規則や会則で定められている目的や活動内容とは明らかに異なる支出が行われている。

・ 会費や部費について集金袋を使用せず、領収証も発行していない。

・ 支出決裁書に会長の承認等がないにも関わらず、支出が行われている。

・ 収支簿に支出の記帳があるものの、納品書や領収書が添付されていない。

・ 領収書の但し書きが、お品代等曖昧な内容となっており、レシートも添付されていない。

・ 会議費について、出席者や人数が不明であるほか、居酒屋等で開催されている。

・ 会議費の使用関し議事録がない。

・ 手書きの領収証が散見される。

・ 個人で負担すべき交通費や食費が周辺会計から支払われている。

・ 実態のない謝金が支払われている。

・ 備品の購入に際し、相見積もりが行われていないなど。


                                                                                                                                  公認会計士 芦 澤 宗 孝




2015/11/18

資産運用収入・支出について

 今回は、資産運用収入・支出について検討しましょう。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。平成26年4月1日以降適用された学校法人会計基準では、資産運用収入・支出に関し、以下のとおり、表示科目が変更になりました。

2015/11/11

合併について(その2)


1.はじめに

 前回は、学校法人の合併について私立学校法を中心に、どのような手続が必要になるのか述べました。そこで今回は主に学校法人の合併に係る会計処理について検討することにします。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。学校法人の合併に関する会計処理については、日本公認会計士協会より公表されている「学校法人の合併及び学校の分離に係る会計基準について(中間報告)」(学校法人委員会研究報告第7号 平成16年1月14日)が参考になります(以下、研究報告といいます。)。

 研究報告では、まず、学校法人の合併や学校の分離について意義が述べられています。①合併とは、二つ以上の学校法人が結合して一つの学校法人になることを目的として行われる法人間の行為であり、(ア)既存の学校法人が解散し、新たな学校法人を設立する新設合併と、(イ)既存の学校法人のうち、解散する学校法人と存続する学校法人に分かれる吸収合併があります。一般的に、新設合併により新たに設立された学校法人又は吸収合併により合併後存続する学校法人は、合併によって解散した学校法人の権利義務の一切を承継し債権者保護が図られ、教職員も引き継ぐと考えられています。したがって、一部の債務を除外して引き継ぐといったことは出来ないものと考えられます。

2015/11/04

合併について(その1)


 わが国の学校法人を取り巻く経営環境は出生数の減少に伴い学齢人口も減少しつつあり、年々厳しいものとなっています。以下は、1947年から2014年までの出生数(左軸)を棒グラフに、合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)を折れ線グラフに(右軸)に示したものです。

                              (出典:厚生労働省 人口動態調査より)

2015/10/28

付随事業・収益事業収入について 4

今回は付随事業と収益事業の扱いの違いを中心に解説します。


1.付随事業と収益事業の扱いについて
 学校法人は、本来事業である教育研究活動のほか、学校教育の一部に付随して行われる事業(以下、「付随事業」という。)及び収益事業を行うことができるとされています。ただ、学校法人は教育研究活動を主たる目的として設立された法人ですから、その適切な運営を確保していく観点から、本来事業である教育研究活動以外の事業については、一定の範囲内で行っていくことがふさわしいと考えられます。
 一方、近年、学校法人においては、様々な性質、種類、規模の付随事業や収益事業を行う例が見受けられるようになってきているため、私立学校法第26条に基づく収益事業告示(平成20年文部科学省告示第141号)の運用にあたっての具体的な指針として、平成21年2月26日付けで、「文部科学大臣所轄学校法人が行う付随事業と収益事業の扱いについて(通知)」が発出されました。当該通知には、付随事業の範囲が明示されておりますので、以下「2.付随事業について」においてその要約を記載します。

2015/10/21

付随事業・収益事業収入について 3

 今回は、「付随事業・収益事業収入」のうち、受託事業収入に関する取扱いの留意点について解説します。


1.受託事業収入とは
 受託事業収入とは、「仕事の完成を約し、依頼者が仕事の完成に対し、その対価として支払い、依頼された者が受け入れた収入」です。
 例えば、学校法人が自動車メーカーから委託を受けて、工学部などで電動自動車の研究を行い、その研究費を受け取る場合は、この受け取った収入は「受託事業収入」として会計処理します。
 学校法人で見られる受託事業は、学校法人本来の目的である教育研究活動の一環として行われることが多く、その内容としては調査、研究、検査、情報の収集などが一般的に考えられますが、学校法人の収入が受託事業収入に該当するかどうかの判断は、その実態に基づいて行うことになります。

2015/10/14

付随事業・収益事業収入について 2

前回、補助活動収入の会計処理及び表示について解説しました。
今回は具体的な数値例を用いて補助活動の経理処理を確認してみましょう。


1.計算設例
  A高校における売店の事業(28年4月1日より29年3月31日)は次のとおりです。
  (1) 売 上 高    21,000千円
  (2) 販売用品    期首商品有高 1,200千円   当期商品仕入高   15,450千円
               期末商品有高 2,500千円
  (3) 売店の経費   ①人件費
                   給  料              2,400千円
                   退職給与引当金繰入額    300千円
                ②水道光熱費             400千円
                ③通 信 費              250千円
                ④減価償却費             200千円
  (4)期末の仕入代未払額     6,000千円


2015/10/07

付随事業・収益事業収入について 1

1.平成25年改正基準における変更点

 従来、教育研究事業に付随して行われる補助活動事業などは、資金収支計算書上の大科目「事業収入」に計上されていましたが、平成25年の学校法人会計基準の改正により、この大科目の名称は、「付随事業・収益事業収入」に変更されました。
 このように大科目において二つの事業を分けて表示することとされた理由は、収益を目的とせず学校教育の一環として又はこれに付随して行われる補助活動事業などの「付随事業」と、私立学校法第26条に定める収益事業、すなわち、寄附行為にその事業の種類などに関する規定を設け、かつ所轄庁の認可を受けた上で、学校法人の一般会計から区分し特別の会計として経理される「収益事業」とでは、その性質・内容が異なるということが主に挙げられます。
 なお、たとえ寄附行為上の収益事業を行っていないという場合であっても、大科目の記載は省略できないので、「付随事業・収益事業収入」として表示します。
 ここで、「付随事業・収益事業収入」に計上される主な小科目とその内容を以下に示します。

2015/09/24

学生生徒納付金収入における留意点


 近年、公立学校においては学校給食の滞納や授業料の滞納、私立学校においても授業料等の滞納(未納)が増加傾向にあるといわれております。滞納の主な原因としては①「保護者の経済的な理由」によるもの、②「モラルの低下」によるものが挙げられています。
 ちなみに、2009年に文科省が実施した実態調査の報告書によれば、2008年度の私立高等学校における授業料滞納者数は、全国で9,067名(全生徒数の0.9%)となっており、前年度に比べ0.1%増加しています。
 同様に、私立大学においても授業料の滞納は大きな課題となっております。文科省の実態調査の報告によれば、2007年度授業料滞納者は全国10,632名(全学生数の0.4%)、2008年度の授業料滞納者は14,662名と前年度に比べ4,030名(約38%)増加しております。

 一旦、滞納が起こると累積する傾向にあり、経済的困窮者の場合の回収については、「困窮者の生活環境の確保や教育的配慮の面から回収が難しくなる」、卒業者、退学者の場合の回収については、「時間の経過とともに住所が不明になるなど」滞納授業料の回収に困難をきたすことが想定されます。

 授業料の滞納者が出た場合、第1に「保護者に滞納の事実を認識させること」、第2に「学校生活においては、授業料等を収める義務があり、収めなければ当該児童・生徒・学生の在籍事実が認められなくなること」を理解してもらうことが必要です。

 以下に、一般的な授業料滞納時の対応策を以下に述べることとします。

2015/09/16

私学法上の収益事業会計(その1)


学校法人の会計での収益事業という場合には、2つの収益事業があります。
 一つ目は私学法第26条第1項に定められた収益事業を寄附行為で定めている場合であり、2つ目は法人税法で定められた収益事業があります。
 ここでは、私学法上の収益事業(寄附行為に定めた場合の収益事業)について、述べることとします。


私学法上の収益事業
 私学法第26条第1項では、「学校法人は、教育に支障がない限り、その収益を私立学校運営の経営に充てるため収益を目的とする事業を行うことができる。」旨を定めています。
 学校法人本来の事業の目的は教育研究活動ですが、その目的を達成するために収益を目的とする事業も学校法人で行う事業であることを認めています。したがって、学校法人が収益事業を行う場合は、寄附行為に収益事業の種類及び内容を明記し、所轄庁の認可を得る必要があります。
 また、新たに収益事業を行う場合及び廃止する場合、又は収益事業の種類を変更する場合も所轄庁の認可を得る必要があります。
 なお、学校法人が行う収益事業は、学校経営へ収益を充当することが目的であり(私学法第26条1項)、もし、収益事業から得られた収益をその学校法人が経営する目的以外のものに充てたときは、所轄庁から収益事業の停止命令を受けることがありますのでご留意ください。(私学法第61条第1項1号)

2015/09/10

経理規程作成ポイント(その3)


 貸借対照表の作成ポイントでも紹介しましたが、いつなんどき大規模災害が発生し、学校法人が保有する資産が壊滅的なダメージを受けないとも限りません。

 このような観点から、大規模災害等で学校法人が保有する校地校舎等に甚大な損害を受け、固定資産の使用が困難となり、かつ処分もできないような状況が生じている固定資産をどのように評価すべきかという視点から、固定資産の評価に関する事項も規定化しておくことが望ましいと考えます。


1 有姿除却資産の適用範囲
① グループ償却
 グループ償却を採用している学校法人においては、個々の機器備品等を減価償却管理システムまたは固定資産管理システムに登録している場合、使用が困難で処分ができない機器備品等を特定することが可能であると考えます。
 そのため、当該取得価額を参考に按分計算を行う等の方法で有姿除却等損失の金額を合理的に算定することとなりますが、この点を規定化することとなります。

2015/09/02

経理規程作成ポイント(その2)


 固定資産会計規定に係る別途定める規程として、有形固定資産の取得及び処分等に関する規程の作成が考えられますが、作成にあたっては以下の事項に留意し作成することが望ましいと考えます。

 有形固定資産は、一般の会計基準と同様に所定の用件を超えるものは資産とし、その要件に満たないものは消耗品などの科目で処理することとなりますが、学生・生徒、児童、園児等が常時使用する「学生生徒、児童、園児用の机・いす、ロッカー、図書館(室)等の書架等」いわゆる少額重要資産は、学校法人の性質上基本的に重要なもので、その目的遂行上常時相当多額に保有することが必要とされる資産は、前述の金額基準に達しないものでも固定資産として管理し、かつ、基本金設定の対象とすることとなっています。(文管振第62号 昭和49.2.14)

 参考までに東京都通知による固定資産取得に係る処理及び固定資産の減価償却に係る処理標準例を以下に示すことといたします。
 なお、他所轄知事においては会計処理標準が異なる場合がありますので、その場合は、所轄知事の指示に従うものとします。

2015/08/26

経理規程作成ポイント(その1)



経理規程とは

 法人規模が大きくなるにつれ、部署の拡大、それに伴う人員の配置等により様々な考え方を持つ人が多く集まります。これらの人達が共同して学校経営行うためには、組織的経営を行うためのガイドラインすなわち学内規程が必要となります。この組織的経営を行うために成文化されたものが「学内諸規程」です。
 学内諸規程には、組織関係規程や財務関係規程、人事・労務関係規程など広範囲に亘りますが、このうち財務関連諸活動に係る業務遂行上の規則を定めたものの中で、経理に関する方針及び手続き、処理方法などを成文化したのもが「経理規程」になります。詳細は、「新訂学校諸規程ハンドブック(齋藤力夫編著)」をご参照ください。

(お問合せ先:株式会社 霞出版 電話03(3556)6022 FAX03(3556)6023)

2015/08/19

新会計基準(貸借対照表の作成ポイント)

 新会計基準では、貸借対照表上大科目「固定資産」の中科目として、新たに「特定資産」の科目が設けられ、その小科目として「第2号基本金引当特定資産」、「第3号基本金引当特定資産」、「(何)引当特定資産」を置くことが定められました。

 以下に示す、「固定資産の評価等の会計処理の取扱い」は、平成25年9月2日付け文部科学省から「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」(25高私参第8号、以下「第8号通知」という。)の通知に基づくものです。


固定資産の評価に係る会計処理

 学校法人会計基準第25条では、「資産の評価は、取得価額をもってするもの」とされており、固定資産についてもその取得価額により評価されることになりますが、近年、東日本大震災等大規模な災害等により学校法人が保有する校地校舎等の固定資産の使用が困難となり、かつ処分もできないような状況が生じている固定資産があります。このような状況にある固定資産についても資産計上を続けることは、学校法人の財政状態を適切に表さないと考えられることから、一定の条件を付して、これまで実際に処分するまでは貸借対照表の資産計上額から除くことができなかったものについて、実際の処分を行わない場合(有姿除却等損失という。)でも貸借対照表の資産計上額から除くことができることとしました。

2015/08/12

新会計基準(事業活動収支計算書の作成ポイント)


 以下に示す、事業活動収支計算書を作成する場合の基本的考え方は、平成25年9月2日付け文科省から「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」(25高私参第8号、以下「第8号通知」という。)の通知に基づくものです。


事業活動資金収支計算書の作成目的について

 事業活動資金収支計算書作成の目的は、当該年度の①教育活動、②教育外活動、①、②以外の活動に対応する事業活動収入及び事業活動支出の内容を明らかにするとともに、基本金に組み入れる額を控除した当該年度の諸活動に対応する全ての事業活動収入及び事業活動支出の金賞の状態を明らかにするため、事業活動計算を行います。

 【教育活動収支】
 教育活動収支とは、経常的な事業活動収入及び事業活動支出のうち、「経常的な財務活動及び収益事業に係る活動」を除いた活動の収入・支出をいいます。

【教育外活動収支】
 教育外活動収支とは、教育活動以外の経常的な財務活動及び収益事業に係る活動に係る事業活動収入及び事業活動支出をいい、教育活動以外の経常的な活動に係る事業活動収入及び事業活動支出をいいます。
ここでいう、財務活動とは、資金調達及び資産運用に係る活動をいいます。

2015/08/05

新会計基準(資金収支計算書の改正点及び活動区分資金収支計算書の作成ポイント)

資金収支計算書の改正点

【資金収支計算書作成の目的】
  資金収支計算書の作成目的は、①当該会計年度の諸活動に対応する全ての収入及び支出の内容を明らかにする、②当該会計年度における支払い資金(現金預金)の収入及び支出の顛末を明らかにする、ことが作成目的です。

【今回の改正点】
 (主な改正点)   
① 活動区分収支計算書を新設
② 施設利用料収入が、大科目「資産運用収入」から「雑収入」へ計上区分が変更
③ 資産運用収入のうち、施設利用料収入以外の科目は、新たに設定された大科目
  「受取利息・配当金収入」に計上
④ 資金収入・支出を伴う場合の過年度修正額の設定
    資金収入を伴う場合 ⇒ 大科目「雑収入」小科目「過年度修正収入」
    資金支出を伴う場合 ⇒ 大科目「管理経費支出」小科目「過年度修正支出」

2015/07/22

学校法人会計基準改正に伴う経理規程の改正

 学校法人の財務諸規程等の作り方については、【財務諸規程ハンドブック】(永和監査法人会長・公認会計士齋藤力夫編著)が平成27年5月20日に初版を発行しました。

 本ハンドブックは、平成3年7月に「学校法人財務諸規程の作り方」を発刊し、その後平成16年3月まで数度の改訂を経て中断しておりましたが、この度の学校法人会計基準の全面改正により、新たに財務諸規程ハンドブックとして発刊することといたしました。

(問合先:非特定営利法人学校経理研究会(Tel03-3239-7903/Fax03-3239-7904)

 ハンドブックの構成としましては、改正学校法人会計基準に合わせ、経理規程ほか財務活動に関連する諸規程として、①資産運用規定、②預り金規程、③固定資産及び物品管理規程、④内部監査規程、⑤予算管理規程、個人研究費規程、⑥科学研究費補助金取扱規程、⑦奨学金規程、⑧各種契約書の作成例と契約締結時のチェックポイント、⑨学校法人寄付行為の作成例とその解説等、網羅的に編集いたしましたので、各学校法人においてご活用くだされば幸いに存じます。

 ここでは、新学校法人会計基準の改正の概要について若干触れ、次回以降に個別的内容について連載してまいりたいと思います。

2015/07/15

私立学校法について

 私立学校法(法律270号として昭和24年制定)とは、同法第1条にあるように、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的として制定された法律です。

 私立学校の「特性」とは、国公立の学校は、いずれも、その経費の相当部分が公費によって補われることに対し、私立学校は私人の寄附財産等によって設立・運営されることを原則とする特徴的な性格です。また、「自主性」とは、私立学校が上記の特性により設立されたことに伴う自律的な運営を行うという性格をいい、これらの特性と性格は、建学の精神や立地地域等の環境により独自の校風が強調されるという点にあります。また、所轄庁の権限ができるだけ制限されているのもこれらの特性や性格に根差すものと考えられています。

2015/07/08

学校教育法について

 学校教育法(法律第26号として昭和22年に制定)とは、日本国憲法に基づき、教育基本法(法律第25号として昭和22年に制定)を受けて、学校教育の具体的な内容を定めたもので、学校教育制度の根幹となる法律であります。

  この法律で定める学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(盲学校・聾(ろう)学校・養護学校)、大学及び高等専門学校をいい、いわゆる1条項と言われている学校です。

 ちなみに、学校教育法第124条に規定する学校を専修学校といい、同法第134条に規定する学校を各種学校といいます。

 各学校は設置の目的や教育目標、修行年限、教職員の数等、基本的なことが、学校教育法によって規定されており、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従わなければならないこととなっており、各学校法人は、このような一定の法の下での運営を行わなければならないこととなっています

 高等教育機関の質保証に関しては、大学等の設置を文部科学省が認可する制度のほか、自己点検評価や外部評価(第三者評価)の実施が義務づけられています。

2015/07/01

学校法人の運営に係る法体系と諸規程の関係

 規程を作成する場合、よく耳にするのが規程と規定の違いがよくわからないという声が多く聴かれます。以下に簡潔に説明したいと思います。

【規則、規程、規定】の意味


 内閣法制局総発第142号 昭和56年10月1日「法令用語改正要領の一部改正について」では、この二つは同音語で紛れやすいので、「規程」を「規則」に言い換えて用いることとされておりますが、ここでは従前からの慣例に従い、「規程」を用いております。
ところで、「規程」と「規定」はどのような違いがあるのでしょうか。

 「規程」とは、条文の内容を的確かつ簡潔に表した題名(表題)であり、それに対し「規定」は、個々の条文(本則ともいいます。)から構成されています。本則がだらだらと書き並べられていては、その内容を理解したり、データ検索したりすることも不便であることから、これを箇条書きの一つに相当したものが「条」で表したものです。

 なお、本則には「条」下に「項」といった、1つの条文の中で規定の内容により区切りをつける必要がある場合には、別行という段落を起こして書き出すこととなっており、加えて条または項の中でいくつかの事項を列記的に並べて規定する場合に番号を付けて列記するのを「号」といいます。

      例) ○○条  ・・・・・・・。「条」
            2  ・・・・・・・。「項」
                          (1)  ・・・・・。「号」

2015/06/24

学校法人の会計システム


学校法人会計の元帳は通常、総勘定と資金収支の2系列となっています。理論的には1取引に対して2つの仕訳が発生することになりますが、それぞれをシステムに入力するのはあまりにも繁雑ですから、通常は片方の仕訳のみを入力して他方は自動的にプログラムが判断して計算します。

 企業会計のソフトウェアを意識して開発している場合は、総勘定入力方式になります。通常の処理は特に学校会計ということを意識せずに入力できます。

資金収支ベースとして開発する場合は、当然資金収支科目入力方式をとります。

総勘定入力方式・資金収支科目入力方式を比較した場合、それぞれに長所・短所はありますが、総勘定入力方式であれば学校会計になれた担当者であっても科目に~収入、~支出とつかないだけで違和感はなく、企業会計だけしか知らない新しい担当者も従来の知識だけで使い始められるという点で総勘定入力方式が優位であるといえるでしょう。

2015/06/17

予算書の作成と様式・提出方法


 予算は教育研究活動の計画であるが、教育研究活動の実施は予算の実行であると位置付けられます。なぜなら教育研究活動の実施は、資金の収支または財産の増減としてとらえられるからです。また、実行された予算は、予算と常に対比され、教育研究活動が計画通りに進行されているかどうかが検討されます。さらに予算は積極的な役割を果たすものです。すなわち計画(Planning)、調整(Coordinating)、管理(Controlling)の3つの機能であります。


 収支予算書の様式や作成要領は、法令で特に定められていません。ここで述べている予算に関する詳細は省略しますが、下記の点に留意して下さい。



2015/06/10

学校法人会計の40年ぶりの改正

 すでにご承知かと思いますが、「学校法人会計基準の一部を改正する省令」(平成25年4月22日文部科学省令第15号)が公布され、平成27年度(都道府県知事所轄学校法人は平成28年度)以後の会計処理及び計算書類の作成から適用されることとなりました。

 また、この改正に伴い、25年9月2日に文部科学省高等教育局私学部参事官より「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」が発出され、さらに26年1月14日に日本公認会計士協会より「「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」に関する実務指針」が公表されました。