2016/05/25

法人税について 4

法人税の最終週である今回は、各収益事業の取り扱い及びその他について解説いたします。

(1) 旅館業
 旅館業とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊所営業及び下宿営業を指します。(旅館業法2条)法人税法では、これらの旅館業のほか、旅館業法による旅館業の許可を受けないで他人を宿泊させ宿泊料を受ける事業が含まれるとし(法基通15-1-39)、さらに、宿泊料については名目のいかんを問わず、実質が宿泊料であると認められるものを含むとしています。
 ① 学校法人等の経営する寄宿舎
   学校法人(準学校法人を含む)が専らその学校に在学する者を宿泊させるために行う寄宿舎の経営
   は、収益事業たる「旅館業」には該当しません。
   ただし、収益事業たる技芸教授業を行う学校法人がその技芸教授業に付随して行う寄宿舎の経営
   については課税の対象となります。(法基通15-1-41)
 ② 低廉な宿泊施設
   学校法人等が専ら会員の研修その他主たる目的とする事業(収益事業に該当する事業を除く)を
   遂行するために必要な施設として設置した宿泊施設で、以下の条件を満たす場合には、収益事業
   たる旅館業には該当しません。(法基通15-1-42)
   ア その宿泊施設の利用が、その法人の主たる目的とする事業の遂行に関連してなされること
   イ その宿泊施設が多人数で共用する構造及び設備を主とするものであること
   ウ 宿泊料の額が全ての利用者につき一泊1,000円以下(食事を提供するものについては2食付で
     1,500円以下)であること

(2) 技芸教授業・学力の教授業・公開模擬学力試験業
 ① 技芸教授業
   学校法人等の収益事業に該当する技芸教授業とは、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、
   理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レ
   タリングを含む)、自動車操縦若しくは小型船舶の操縦の教授業であって、次の条件に該当するもの
   を除きます。なお、技芸教授には通信教育によるもの及び技芸に関する免許の付与等を含みます。
   ア 学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、
     特別支援学校、大学及び高等専門学校)、同法第124条に規定する専修学校又は同法第134条
     第1項に規定する各種学校において行われる技芸の教授で次の全ての条件(法規7条)に該当す
     るもの
     a その修業時間(普通科、専攻科その他これらに準ずる区別がある場合には、それぞれの修業
       時間数)が1年以上であること。
     b その1年間の授業時間数(普通科、専攻科その他これらに準ずる区別がある場合には、
       それぞれの授業時間数)が680時間以上であること(ただし専修学校の高等課程、専門課程
       又は一般課程については、各課程の授業時間数が800時間以上であること(夜間の場合
       その他特別な時間に授業を行う場合には、1年の授業時間数が450時間以上で、かつ、その
       修業期間を通ずる授業時間数が800時間以上であること))。
     c その施設(教員数を含む)が同時に授業を受ける生徒数に比し十分であると認められること
     d その教授が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められてい
       ること
     e その生徒について学年又は学期ごとにその成績の評価が行われ、その結果が成績考査に関
       する表簿その他の書類に登載されていること 
     f その生徒についての所定の技術を習得したかどうかの成績の評価が行われ、 その評価に
       基づいて卒業証書又は修了証書が授与されていること
   イ 略

(3) 駐車場業
 学校法人等が自動車を駐車させる設備又は場所を設けその場所を利用させる場合には駐車場業に該当します。

1 教育研究事業への寄附
 法人税法では、法人が支出する寄附金について、一定限度額までのものを、課税所得の計算上損金に算入することを認めています。(法法37条)
 また、学校法人等については、収益事業から教育部門等の非収益事業に支出した金額を、収益事業に係る寄附金とみなして、寄附金の損金算入限度額の範囲内で損金算入することが認められています。
 下記①又は②のいずれか多い金額
   ① 当該事業年度の所得金額(寄附金の額を含む)×50/100
   ② 年200万円

2 学校法人等に対する税率
 学校法人等に対する法人税の税率は、前記1のみなし寄附金を損金に算入した後の課税所得に対して19%(平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に終了する事業年度については、年800万円以下の金額については15%)とされています。

(斎藤総合税理士法人 税理士 内 藤 浩 之

2016/05/18

法人税について 3

前週に引き続き、今回も各収益事業の取り扱いを解説いたします。


(1) 不動産販売業
 収益事業となる不動産販売業とは、不動産の販売を業とするものをいいます。
 学校法人等が不動産を譲渡した場合、その譲渡行為が販売行為なのか、又は、不動産の処分行為なのかが常に問題になります。販売行為とは、不動産である土地、建物等を不特定又は多数の者に反復して又は継続して譲渡することであり、収益事業に該当します。一方、不動産の処分行為とは、学校法人等が固定資産として所有していた土地建物等を、資金繰りその他の都合で譲渡することで収益事業には該当しません。

2016/05/11

法人税について 2

今回も、前回に引き続き法人税の概要と各収益事業の個別的取扱いを解説いたします。


1.資産の運用収入
 学校法人等が収益事業から生じた所得を預金や有価証券等に運用し、その運用から生じた利息や配当金は、収益事業の収入に含まれます。しかし、収益事業から生じた所得を運用した預金や有価証券であっても、それが収益事業を運営するために通常必要とする範囲の額を超える余裕資金であり、その預金や有価証券を収益事業以外の資産として区分経理をしている場合には、その区分経理をした預金や有価証券から生じた利息や配当金は収益事業の収入に含めないことができます。(法基通15-1-7)

2016/05/06

法人税について 1

 5月の学校会計のチカラは、法人税について解説いたします。5月末が法人税の申告期限であり決算業務に追われているかと思いますが、少しでもこのブログを参考にして頂ければ幸いです。

1.法人税(収益事業課税)
 法人税法では、株式会社等の営利法人については、全ての所得に課税することとされていますが、学校法人等の公益法人に対しては、一定の収益事業から生ずる所得についてのみ課税することとされています。
 法人税法上収益事業は、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」(法法2条13号)であると規定されています。すなわち、学校法人等の公益法人が「政令で定める事業」を、「継続して」かつ「事業場を設けて」行っている場合にのみ法人税の課税が生じ、これらの条件に該当しない場合には課税されません。