2017/10/18

科研費(3)



 10月第3週目の学校会計のチカラは、先週に続き、科研費の経費(間接経費)の取り扱いについて考えていきます。先週の学校会計のチカラでは、直接経費を取り上げていますので、先週と今週の学校会計のチカラを比較しながら考えると相違点がわかります。


1.間接経費
 間接経費は、研究者が獲得した競争的資金に対して、直接経費の一定割合(30%)を研究機関に提供するものです。研究者は、競争的資金を財源とした研究活動を研究機関で行う際、研究機関では様々なコスト(水道光熱費等)が発生します。この研究機関における研究環境整備の費用は、一定程度の負担軽減を行う必要あるため、間接経費として資金提供しているのです。

2017/10/11

科研費(2)


 10月第2週目の学校会計のチカラは、科研費の管理と直接経費の取り扱いについて考えていきます。

※先週(10月第1週目)の「学校会計のチカラ」の掲載時、担当者の誤りにより、10月第2週目の内容が掲載されるという不手際がありました。10月9日に差し替えを行い、正しい順番に変更しております。このたびはご迷惑をおかけしました読者の皆様には心よりお詫びを申し上げるとともに今後はこのような誤りがないように努めてまいります。これからも学校会計のチカラをよろしくお願い申し上げます。


1.科研費の管理
 科研費は、採択された研究課題の研究を行うために支出するものであり、この目的のために幅広く使用することができます。
 しかし、自由裁量が広くなると、研究者の個人的な判断によるルールに反した科研費の使用や不正が生じる可能性があります。これに対応するため、科研費の用途に関するルールを設け、厳正に管理する必要があるのです。

2017/10/04

科研費(1)




 10月の学校会計のチカラは、科研費(文部科学省の科学研究費)について考えていきます。第1週目は科研費の概要と今後の動向を取り上げます。

  1.科研費の意義
  科研費は、大学や研究機関等で行う研究活動に必要な資金を研究者に対して助成するために制度化されたものです。
  助成の範囲は、人文学、社会科学から自然科学までのすべての分野にわたっており、基礎研究から応用までのあらゆる独創的・先駆的な学術研究(研究者の自由な発想に基づく研究)を対象としています。
 研究活動の対象は、研究者が比較的自由に行うことができるものをはじめ、予め重点的に取り組む分野や目標を定めて行われるプロジェクトに対するもの、具体的な製品開発に結びつけるためのものなど様々な制度があります。

2017/09/27

新会計基準における財務分析について(その4)


 先週は、新会計基準における財務分析について、貸借対照表の変更点について比較しました。                今週は、第2回目及び第3回目で紹介した新会計基準における財務比率について、理解する上でのポイントを解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。
 

2017/09/20

新会計基準における財務分析について(その3)


先週は、新会計基準と旧会計基準における財務分析について、事業活動収支計算書を中心に変更点を比較しました。今週は、貸借対照表の変更点について比較します。

なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

2017/09/13

新会計基準における財務分析について(その2)



先週は、学校法人における財務分析の意義と新会計基準における財務分析の特徴について解説しました。今週は、具体的に新会計基準と旧会計基準における財務分析について、事業活動収支計算書を中心に変更点を比較します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。
 新会計基準が適用されたことに伴い、事業活動収支計算書(消費収支計算書)における財務分析が以下のとおり変更になっています。

2017/09/06

新会計基準における財務分析(その1)





 今月は、新会計基準における財務分析について、旧基準と比較しながら4回にわたり解説したいと思います。第1回目の今回は、学校法人における財務分析の意義と新会計基準における財務分析の特徴について解説します。
 私立学校は、わが国の教育研究活動というきわめて公益性の高い事業を遂行することを目的としています。また、将来世代を育成する機関としての私立学校は、今後ますます重要な役割を果たす責任があるため、その管理・運営は適切でなければならず、株式会社等の営利法人に比べ、より永続性、確実性、公共性等を確保し、経営の安定化を図る必要があります。

2017/08/30

学校法人の予算制度 2


 今回も前回に引き続き「学校法人の予算制度」について解説します。前回は学校法人における予算の必要性とその役割などについて解説しました。今回は作成すべき予算書の種類と提出時期及び予算編成の実務について解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。


1 作成すべき予算書の種類と提出時期
 ⑴ 作成すべき予算書
 学校法人においては、予算については「理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。」(私学法42条1項1号)とされ、また、経常的経費に関する補助金の交付を受ける学校法人は、収支予算書を所轄庁に届け出なければならないとされています(助成法14条2項)。

2017/08/23

学校法人の予算制度 1


 今回から2回に分けて「学校法人の予算制度」について解説します。学校法人の運営の特徴として予算主義があげられます。学校法人は、その諸活動の計画について予算を編成し、予算に基づいて運営することが求められています。今回は学校法人における予算の必要性とその役割などについて解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 予算の必要性と3つの役割
 ⑴ 予算の必要性
 私立学校法第42条では、学校法人の予算については理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならないと規定されています。また私立学校振興助成法第14条2項では、収支予算書を所轄庁に届け出ることを義務付けています。
 予算とは、学校法人の教育研究活動の具体的計画を所定の計算体系に基づいて科目と金額で表示したものです。株式会社などの営利企業の会計では、予算に対する法的義務付けはされていませんが、学校法人の会計ではなぜ予算が必要なのでしょうか。「学校法人の予算制度に関する報告(第1号)について」(学校法人財務基準調査研究会)によれば、以下のように述べられています。

2017/08/16

学校法人に関係する法令 3


 今回も前回に引き続き、「学校法人に関係する法令」について解説します。前回は私立学校振興助成法の概要説明と学校法人会計基準との関連性などについて解説しました。
 今回は学校法人の運営を担う理事と理事の職務執行を監査する監事との関係、評議員会による諮問制度、近年改正のあった財務情報の公開制度など学校法人の管理運営制度について私立学校法の規定を引用しながら概観します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 私立学校法における管理運営制度
⑴ 私立学校法における役員と運営
  学校法人の管理運営制度については、私立学校法の「第3章 学校法人 第3節 管理」の規定が重要となります。「第3節 管理」では、理事や監事といった役員に関するもの、理事会や評議員会の運営などが規定されています。

2017/08/09

学校法人に関係する法令 2


 今回は前回に引き続き、「学校法人に関係する法令」について解説します。前回は学校教育法及び私立学校法について解説しました。今回は私立学校振興助成法の概要説明と学校法人会計基準との関連性などを解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 私立学校振興助成法
⑴ 私立学校振興助成法の概要
 昭和45年度に創設された私立大学等経常費補助金は、私立学校法第59条の「国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をすることができる。」を根拠としていましたが、さらなる私学助成の充実を図るため、昭和50年に議員立法で制定されたのが、私立学校振興助成法(以下、「助成法」とします。)です。
 これにより私立大学等経常費補助金並びに私立高等学校等経常費助成費補助金交付の法的根拠が整備され、また学校法人に対する税制上の優遇措置など私学振興施策の充実が図られることになりました。 

2017/08/02

学校法人に関係する法令 1

  今回から3回に分けて「学校法人に関係する法令」について解説します。学校法人に関連する法令は多数ありますが、ここでは、特に関連性の深い学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法を中心に解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 学校教育法
 ⑴ 学校教育法の概要
 学校教育法(法律第26号として昭和22年に制定) とは、日本国憲法に基づき、教育基本法(法律第25号として昭和22年に制定)を受けて、学校教育の具体的な内容を定めたもので、学校教育制度の根幹となる法律です。この法律で定める学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(盲学校·聾(ろう)学校・養護学)、大学及び高等専門学校のことをいいます。学校教育法第1条に掲げられた学校なので、「1条学校」とか「1条校」と言われています。
 ちなみに、学校教育法第124条に規定する学校を専修学校といい、同法第134条に規定する学校を各種学校といいます。
各学校については、設置の目的や教育目標、修業年限、教職員の数等、基本的なことが、学校教育法によって規定されており、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める備、編制その他に関する設置基準に従わなければならないこととなっています。各学校法人は、このような一定の法が定める規定の下での運営が求められています。
 高等教育機関の質保証に関しては、大学等の設置を文部科学省が認可する制度のほか、自己点検評価や外部評価(第三者評価)の実施が義務づけられています。


2017/07/26

公認会計士監査と監事との連携 4


  前回までは、学校法人にかかわる公認会計士監査のうち、私立学校振興助成法に基づく監査と寄付行為等の認可申請時の財産目録監査について説明しました。
 今回は、公認会計士監査とかかわりのある監事監査や内部監査について解説していきます。
 第1回のおさらいになりますが、監事は学校法人の業務又は財務の状況について監査を行い、監査報告書を作成し提出する必要があります(私立学校法第37条第3項第3号)。
 一方で、公認会計士は私立学校振興助成法に基づいて収支計算に関する書類について監査を行います(私立学校振興助成法第14条第3項)。
 そして、監事が実施する財務の状況に関する監査をより充実させる観点から、監事は公認会計士と連携して監査をすることが望ましいとされています。
 以下では、日本公認会計士協会から公表されている「学校法人の監査人と監事の連携のあり方等について」(学校法人委員会研究報告第17号)を参考にして、監事と公認会計士の連携のあり方について考えてみたいと思います。

2017/07/19

公認会計士監査と監事との連携 3

 前回までは、学校法人にかかわる公認会計士監査のうち、私立学校振興助成法に基づく監査と寄付行為等の認可申請時の財産目録監査について説明しました。

 今回と次回は、公認会計士監査とかかわりのある監事監査や内部監査について解説していきます。まず、学校法人の監事及び監事による監査について説明します。

2017/07/12

公認会計士監査と監事との連携 2


前回は学校法人に対する公認会計士監査のうち、私立学校振興助成法に基づく監査について説明しました。今回は、学校法人の寄附行為等の認可申請に係る書類の様式等の告示に基づく財産目録監査について解説していきます。

2017/07/05

公認会計士監査と監事との連携  1


 今月は学校法人にかかわる公認会計士監査と監事による会計監査等について解説していきます。
 平成27年度の私立学校振興助成法に基づく監査から(知事所轄学校法人は平成28年度の監査から)公認会計士が作成する監査報告書の取扱いが改訂されています。初回では、改訂の契機となった監査基準の改訂と私立学校振興助成法に基づく監査について説明していきます。

2017/06/28

判例紹介「固定資産税等賦課処分の取消請求事件」

 今回は固定資産税について掲載しますが、内容は固定資産税関係の判例紹介です。
学校法人が、病院建築中の土地に対して固定資産税を賦課されたことにより、これを違法としてその取消を求めた事案です。
               固定資産税等賦課処分の取消請求事件」
                          判決(平成25年2月6日 東京地方裁判所)
                          平成24年(行ウ)第426号


 1. 事案の概要
 学校法人がその保有する土地にたいして、港都税事務所長から固定資産税等の賦課決定処分(課税処分された税額は、固定資産税4,768万円、都市計画税1,021万円)を受けたが、学校法人は、所有する土地は固定資産税の非課税対象を規定する地方税法348条2項の9号にいう「直接に教育の用に供する固定資産」又は12号にいう「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」に該当し、固定資産の課税処分は違法であるとして、その取消を求めた事案である。

2017/06/21

源泉所得税の具体的事例 3

今週も引き続き源泉所得税の具体的事例について解説します。


Q - 非課税所得とされる学資金
平成28年度税制改正で、非課税所得とされる学資金の摘要範囲について改正されたと聞きました。具体的に、どのような改正が行われたのでしょうか?

A-
1.従前の規定

 所得税法第9条(非課税所得)第1項第15号において、「学資に充てるため給付される金品(学資金)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品(民法に基づく扶養料)については、非課税とする」旨が定められています。
  ただし、「給与その他対価の性質を有する学資金は、非課税とせず課税する」こととし、非課税と   される学資金の範囲から除外され、課税対象となっていました。

2.改正の概要

 学資に充てるため給付される金品(以下「学資金」といいます。)については、学術奨励の観点から、従前より非課税とされています。ただし、給与をはじめとして対価の性質を有するものは「非課税とされる学資金の範囲」から除外され、従前から課税の対象とされていました

 平成28年度税制改正では「非課税とされる学資金の範囲」が改正され、平成28年4月1日以後に給与所得者が使用者から受けるもので、通常の給与に加算して受ける学資金が新たに非課税とされることとなりました。

2017/06/14

源泉所得税の具体的事例 2


今週も引き続き源泉所得税の具体的事例について解説します。

Q - 学校法人の教員が他の団体から研究助成金を受け取った場合の課税関係

    当学園の教員は、外部の公益財団法人が公募する研究助成に応募し、審査の結果、助成金
  の交付を受けることとなりました。この助成金を受け取った場合には、所得税は非課税とされる
  のでしょうか?あるいは課税されるのでしょうか?

    また、課税される場合には、源泉所得税が徴収されるのでしょうか?あるいは、自ら税務署
   へ確定申告書を提出する必要があるのでしょうか?
A -
1.学術奨励金に関する所得税の課税の有無
 
    教員や学生が行う学術に関する研究を奨励する目的で交付される学術奨励金については、
  所得税法第9条(非課税所得)に規定されているものは非課税となりますが、この規定に該当し
  ないものは課税の対象となります。 

2017/06/07

源泉所得税の具体的事例 1


 6月の学校会計のチカラは、源泉所得税と固定資産税について解説します。まずは今週から3回にわたり、学校法人で想定される源泉所得税の具体的事例をご紹介します。少しでも皆様の実務に役立てば幸いです。


- 教職員等の発明・考案に対して支給する報償金

 当学園では、教職員が職務上有益な発明・考案等を行った場合には、学園規程により、当学園の資金、施設又は設備等を用いて行った職務発明に関する特許等を受ける権利及びこれに基づき取得された特許権等は、原則として学園に帰属(発明・考案者から学園が権利を承継)することとしています。 

 しかし、その発明・考案者に報償金等を支払う制度はありません。そこで、今後は職務上の発明・考案等に対する報償金制度を設けて、金銭を支給することを検討しています。この場合に、課税の問題は生じるのでしょうか?

 A- 

1.課税関係の概要

 所得税基本通達23~35共-1(使用人等の発明等に係る報償金等)では、業務上有益な発明、考案等をした役員又は使用人が使用者から支払いを受ける報償金、表彰金、賞金等に関する税務上の取扱いを明らかにしています。
 

2017/05/31

法人税 4

 今週は確定申告について及び確定申告書を提出しなかった場合、提出が遅れた場合等の取扱いを解説いたします。

(1)確定申告
    株式会社のように営利を目的として設立された法人は全ての所得に対して法人税が課税され
   ますが、学校法人のように公益を目的として設立された公益法人等については収益事業を行う
   場合に対してのみ法人税が課税されます。
  収益事業を行う学校法人等は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に確定申告をすると
 ともに、法人税を納付しなければなりません。
     なお、法人税の税率は収益事業に係る所得に対し次の通りとなります。
   28年4月1日以後開始事業年度・・・19%(年800万円以下の所得金額については15%)
   29年4月1日以後開始事業年度・・・19%
    確定申告書の提出に当たっては、収益事業に関する貸借対照表や損益計算書等だけでなく、
   収益事業以外の事業に関する決算書も添付する必要があります。

2017/05/24

法人税 3

  今週は個別的収益事業及び学校法人等が新たに収益事業を開始した場合の届出書類につい
  て解説いたします。

(1)不動産貸付業
   学校法人等の行う不動産貸付業のうち、次のもの以外の不動産貸付が収益事業の対象とさ
   れます。
  ①国または地方公共団体に対し直接貸付けられる不動産の貸付業
  ②主として住宅の用に供される土地の貸付業で、その貸付の対価が低廉であることの他、財
   務省令で定める要件を満たすもの
  ③特定法人、日本勤労者住宅協会、社会福祉法人、民間都市開発機構、独立行政法人農
   業者年金基金、食品流通構造改善促進機構、商工会等、独立行政法人中小企業基盤整
   備機構が行う特定の不動産貸付業及び宗教法人又は公益社団法人もしくは公益財団法
   人が行う墳墓地の貸付業
    また、不動産貸付業には、単に土地や建物を貸すことの他に、店舗の一画を他の者に継
   続的に使用させるいわゆる「ケース貸し」及び広告等のために建物の屋上、壁面等を貸し
   付ける行為も含まれます。(法基通15-1-17)

2017/05/17

法人税 2

今週も引き続き個別的収益事業について解説いたします。

(1)物品貸付業
  学校法人等の収益事業に該当する物品貸付業には、通常の物品のほか、動物や植物の貸付業も含まれます。
物品の貸付けは、他の業種に付随して行われる場合には、物品貸付けに対する料金を収受していても物品貸付業には該当せず、たとえば、旅館におけるテレビ、麻雀等の遊具の貸付けは旅館業に含まれ、遊園地における貸ボート等は遊技所業に含まれます。(法基通15-1-16)

2017/05/10

法人税 1

 5月からは4回にわたって法人税について解説いたします。
 昨年5月も法人税について解説しておりますが、前回触れられなかったところを中心に述べたい
 と思います。
 まずは、個別的収益事業について解説いたします。

(1)請負業
   請負業のうち、次に掲げるもの以外のものが収益事業となります。 
  ① 法令の規定に基づき国又は地方公共団体の事務処理を委託された法人の行うその委託
    に係るもので、その委託の対価がその事務処理のために必要な費用を超えないことが法令
    の規定により明らかなことその他財務省令で定める要件を備えるもの
  ② 土地改良事業団体連合会、特定法人が行う特定の請負業

  ③ 私立学校法第3条に規定する学校法人がその設置している大学に対する他の者の委託を
    受けて行う研究に係るもの(当該研究に係る実施期間が3月以上のもので、その委託に係
    る契約又は協定において当該研究の成果の帰属及び公表に関する事項が定められている
    ものに限る)

 請負業には、建築の請負等のほか事務処理の委託を受ける業を含むとされていますので、その範囲は広く、ほかの者の委託に基づいて行う調査、研究、情報の収集及び提供、手形交換、為替業務、検査、検定等が含まれます。
 これらの請負業には、前記の①~③に該当するものを除き、国又は地方公共団体から委託を受けたものも含まれます。(法基通15-1-27)

2017/04/26

国等の特例のポイント 2

 今週も引き続き国、地方公共団体等に対する仕入税額控除の特例のポイントです。

1.仕入れに係る消費税額の計算方法
 ほとんどの学校法人の課税売上割合は95%未満となります。この場合、原則課税制度においては仕入れに係る消費税額を、「個別対応方式」か「一括比例配分方式」により計算することになります。

「仕入れに係る消費税額」
= 「調整前の仕入れに係る消費税額」 - 「特例の適用を受けた仕入れに係る消費税額」

2017/04/19

国等の特例のポイント 1

 前回までは、簡易課税制度のポイントを取り挙げました。今回からは、原則課税制度を採用している学校法人にとって1番のポイント、いわゆる国等の特例、すなわち「国、地方公共団体等に対する仕入税額控除の特例」を取り挙げます。


1.国、地方公共団体等に対する仕入税額控除の特例

 学校法人は、「等」の部分に含まれます。原則課税制度を採用しているほとんどの学校法人に、この特例が適用されます。特例が適用されますと、仕入れに係る消費税額が減りますので、結果として納付すべき税額が増えることになります。学校法人にとっては嬉しくない特例です。

2017/04/12

簡易課税制度のポイント 2

 前回に引き続き、消費税の簡易課税制度を取り挙げます。今回は、学校法人における簡易課税の具体的な事業区分にスポットを当てて説明していきます。

1.簡易課税制度における事業区分とみなし仕入率

 あらためて事業区分とみなし仕入率をまとめますと、以下のとおりです。


事業区分
みなし仕入率
該当する事業
第一種事業
90%
卸 売 業
第二種事業
80%
小 売 業
第三種事業
70%
農業、林業、漁業、製造業など
第四種事業
60%
飲食店業、固定資産の売却など
第五種事業
50%
サ ー ビ ス 業 な ど
第六種事業
40%
不 動 産 業

2017/04/05

簡易課税制度のポイント 1

 このブログを読まれている学校法人の多くは、いわゆる簡易課税制度を採用して消費税の申告を行っているのではないかと思います。この簡易課税制度については、平成26年度の税制改正でみなし仕入率の見直しがなされ、平成27年度より新しい制度が学校法人に適用されることとなりました。
 そこで、今月の学校会計のチカラでは、2回にわたりこの簡易課税制度を取り挙げたいと思います。

1.簡易課税制度とは

 簡易課税制度は消費税の計算方法の一つですが、消費税法の条文のどこを探しても「簡易課税制度」という文言を見つけることはできません。冒頭で「いわゆる簡易課税制度」と述べたのはそのためです。条文上は、「中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例」(消費税法第37条)と定められています。
 消費税では、「課税標準額に対する消費税額」(要は預かった消費税額)から「仕入れに係る消費税額」(要は支払った消費税額)を控除して計算します。

2017/03/29

決算留意事項 5

 3月の学校会計のチカラ最終週は、先週に引き続き注記事項を取り上げます。新しく導入された有価証券の明細に関する注記と学校法人間の取引に関する注記を考えていきます。また、各計算書類間の関連性をまとめた表を最後に掲載していますので、計算書類作成時の参考にご利用ください。

1.貸借対照表末尾の注記事項
(1)その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項
 平成17年に改正された学校法人会計基準では、「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」の内容として、次の9項目を注記することが示されています。
  ① 有価証券の時価情報
  ② デリバティブ取引
  ③ 学校法人の出資による会社に係る事項
  ④ 主な外貨建資産・負債
  ⑤ 偶発債務
  ⑥ 所有権移転外ファイナンス・リース取引
  ⑦ 純額で表示した補助活動に係る収支
  ⑧ 関連当事者との取引
  ⑨ 後発事象
 これに対して、平成25年改正の学校法人会計基準では、上記9項目に加えて、⑩「学校法人間の財務取引」の合計10項目が示されています。また、①「有価証券の時価情報」の注記を強化しました。以下に、改正箇所に関する注記例を示しますので、注記作成時の参考にご利用ください。

2017/03/22

決算留意事項 4

 今週と来週の学校会計のチカラは、注記事項について考えていきます。今週は、新しく導入された活動区分資金収支計算書の末尾に記載する調整勘定等と貸借対照表末尾の8項目の注記を取り上げます。

1.活動区分資金収支計算書における調整勘定等
(1)調整勘定等の内容
 資金収支計算書における調整勘定等は、旧会計基準の適用のときから表示しているため、馴染みのある方も多いと思います。平成25年改正の学校法人会計基準で導入された活動区分資金収支計算書では、資金収支計算書上に表示した調整勘定等を分解して3つの活動区分に割り当てる処理が必要になります。3つの活動区分ごとに調整勘定等の加減状況を表示するため、活動別の収支関係と支払資金残高の整合性が活動区分資金収支計算書上でも明らかになります。

2017/03/15

決算留意事項 3

 今月の学校会計のチカラは、決算留意事項を取り上げています。第3週目は、学校法人会計基準の改正により新しく導入された活動区分資金収支計算書の内容について考えていきます。
 
 
1.活動区分資金収支計算書について
 
 平成25年改正の学校法人会計基準では、資金収支計算書の内訳として新たに活動区分資金収支計算書が導入されました。資金収支計算書で計算した支払資金(現金預金)の流れを3つの活動に区分して収支を計算します。
 3つの活動とは、①教育活動による資金収支、②施設整備等活動による資金収支、③その他の活動による資金収支をいいます。先週の学校会計のチカラで取り上げた事業活動収支計算書と似ていますが、分類の仕方が異なっています。

2017/03/08

決算留意事項 2

 今月の学校会計のチカラは、決算に関する留意事項を中心に連載しています。第2週目は、平成25年改正の学校法人会計基準適用により新しく導入された事業活動収支計算書の内容について考えていきます。


1.事業活動収支計算書の内容

 平成25年改正の会計基準のポイントとしてあげられるのが、消費収支計算書を廃止して事業活動収支計算書を導入したことです。
 事業活動収支計算書は、学校活動から生じる取引をまず経常的な収支と臨時的な収支に大きく区分します。次に、経常的な収支を「教育活動」と「教育活動外」の2つに分けます。その結果、事業活動収支計算書は3つの活動に区分されます。ここから次のような特徴点が浮かび上がります。

2017/03/01

決算留意事項 1

 3月の学校会計のチカラは、決算が近づいているため、会計基準改正に関連する内容を中心に決算留意事項を考えていきます。都道府県知事所轄の学校法人は、平成25年4月22日改正の新しい学校法人会計基準の適用初年度の決算をむかえます。今月の学校会計のチカラの内容を参考に、改正内容の再確認と決算業務に役立てていただきたいと思います。
 また、文部科学省所轄の学校法人は、平成25年改正の学校法人会計基準適用2回目の決算になります。そのため、今月の学校会計のチカラは、復習を含めてご確認いただきたいと思います。第1週目は、学校法人会計基準の改正の概要と予算の内容を取り上げます。

2017/02/22

学校法人における不正会計 4

 前回は公認会計士による学校法人特有の不正リスクの把握方法について解説しました。そのリスクを「不正な財務報告」と「資産の流用」とに区分し、前者については、理事の業務執行に対する理事会による監督や監事による監査等の適切なガバナンスを構築すること、また後者については、内部統制の不備に基因する場合が多いため当該リスクを防止又は発見する上で有効な内部統制を構築することが重要である点について理解されたかと思います。最終回となる今回は、学校法人における不正会計で頻発する寄付金及び教材料等(預り金)に係る不正とその対応について解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。


1 保護者等から収受する寄付金及び教材料等(預り金)の取扱い

 本項「学校法人における不正会計」1回目では、任意団体(周辺会計)において寄付金名目で徴収した資金について多額の使途不明金が発生した事件や生徒から必要以上の「教材費」などを徴収し、余剰金を「隠し口座」に不正にプールしていた事件を紹介しました。これら不正事例に関して文部科学省は、学校法人の教育研究に直接必要な経費に充てられるべき寄付金及び保護者等から徴収している教材料等の取扱いについて、平成27年3月31日付けで26高私参第9号「学校法人における寄付金等及び教材料等の取扱いの適正確保について(通知)」を各都道府県知事に対して発出し、所轄学校法人に対して、引き続き適切な指導がなされるよう求めました。
 当該通知は、一部の学校法人において、教育研究に直接必要な経費に充てるべき寄付金及び保護者等から徴収している教材料等について、不適切な取り扱いが行われている実態が発生したことに伴い、学校法人が保護者等関係者から教育研究に直接必要な経費に充てるために受け入れた寄付金等は、すべて学校法人が直接処理し、学校法人会計の外で経理することなどがないよう改めて求めています。
 また、教材料等の取扱いについても学校法人会計基準の趣旨にのっとって適切に処理されるよう求めるとともに、新学校法人会計基準が平成27年4月1日から適用となることも踏まえ、従来からの慣行にとらわれることなく、会計処理の全般にわたり、必要に応じて点検や改善を行うほか、内部監査機能を強化するなど経理の適正を期すよう求めています。
 文科省は、保護者等関係者からの寄付金等の取扱いについて、平成14年10月1日付けで通知した「私立大学における入学者選抜の公正確保等について」を留意的に掲載し、その趣旨に沿った寄附金収受に関する管理運営を確保する必要があると注意喚起しています。また、管理運営の不適正が認められる場合等には、私立大学等経常費補助金について私立学校振興助成法、私立大学等経常費補助金交付要綱及び取扱要領の規定にのっとり厳正な措置を講ずるものである点留意的に記載しています。当該通知によれば、寄付金の収受と入学者選抜の実施に係る適切な管理運営を行う上で以下事項が遵守される必要があります。なお、特に重要な部分は、「下線」を付して強調しました。

2017/02/15

学校法人における不正会計 3

 前回は、不正の発生を未然に防止するために必要となる学校法人におけるガバナンスについて解説しました。私立学校法上規定されている理事会など各機関の特徴と理事を監査する立場にある監事機能の問題点について理解されたかと思います。今回は、学校法人における不正について公認会計士等がどのような視点で不正リスクの把握とその対応を行っているかについて解説します。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

1 公認会計士等による学校法人特有の不正リスクの把握
 私立学校法は、公認会計士又は監査法人(以下、「公認会計士等」とする。)といった学校法人外部者による監査に関する定めを設けていませんが、私立学校振興助成法では、公認会計士等による学校法人に対する監査の定めがあり、理事や教職員などによる不正の発見について積極的な関与が求められています。すなわち、公認会計士等が監査を行うに当たり行為規範とされている「監査基準」(平成22年3月26日最終改訂 企業会計審議会)において、「監査人は、監査の実施において不正又は誤謬を発見した場合には、経営者等に報告して適切な対応を求めるとともに、適宜、監査手続を追加して十分かつ適切な監査証拠を入手し、当該不正等が財務諸表に与える影響を評価しなければならない。」(第三 実施基準 三 監査の実施6)と定めており、公認会計士等は、不正を識別し、又は不正が存在する可能性があることを示す情報を入手した場合は、これらの事項を速やかに理事や監事へ報告することが求められています。

2017/02/08

学校法人における不正会計 2

 前回は、学校法人における不正会計の事例、対応策について解説しました。今回は学校法人におけるガバナンスについて解説します。学校法人における不正を考える場合に、そのガバナンス(統治)について理解する必要があります。すなわち、私立学校法上定められている、理事会、理事長、理事、監事及び評議員会といった機関のそれぞれの特徴と責任を十分に理解することが重要です。特に監査機能を担う監事の特性については十分な留意が必要です。
 なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。


1 学校法人におけるガバナンス

(1) 私立学校法における規定
 学校法人は、私立学校法に基づき設立された法人であり、私立学校の設置主体として公共的な性格を有するとともに、自主的・自立的な管理運営を行う上で、各学校法人の規模等に応じたガバナンスを構築する必要があります。学校法人のガバナンスを担う各機関の業務については、私立学校法上、次のように定められています。

2017/02/01

学校法人における不正会計 1

 今週から4回に分けて、学校法人における不正会計について解説していきます。最近、大企業において「粉飾決算」「不正会計」「不適切な会計処理」といった言葉が報道されることが多く、これが一般的な出来事になりつつあり、会計監査を仕事としている私たち公認会計士からするとよい風潮ではありません。もちろん不正会計が行われば、それを防止するための施策が企業内に組み込まれますが、また新たな手口で不正が行われます。

 大企業ばかりではなく、学校法人においても不正会計が報道されています。その多くは経費の不適切な支出や保護者等からの預り金を管理している周辺会計における不正です。今回のコラムでは、学校法人における不正会計の事例、特徴や対応策などを中心に解説していきます。なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する法人の公式的な見解ではないことを申し添えます。

2017/01/25

内訳表について 4

 前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、人件費支出の取扱いについて解説しました。250号通知においては、人件費支出について「貼り付け」と「学校法人」部門の職員人件費支出の取扱いが特徴的な点であることを確認して頂けたことと思います。今回は、主に各部門間又は各学部・学科間等に共通する収支に関する配分方法について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 250号通知では、各部門間又は各学部・学科間等に計上又は配分する収支に関し、以下のとおり定めています。

2017/01/18

内訳表について 3

 前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、主に「学校法人」部門の業務の範囲と「学校法人」部門に計上する収入額及び支出額について解説しました。250号通知における会計上の「学校法人」部門と実際に各学校法人に設置される組織上の法人本部の業務とは必ずしも一致していないことを改めて確認して頂けたことと思います。今回は、250号通知における人件費支出の取扱いについて解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 250号通知においては、人件費支出について以下の取扱いを求めています。

2017/01/11

内訳表について 2

 前回は、資金収支内訳表や人件費支出内訳表、事業活動収支計算書(以下、資金収支内訳表等といいます。)において、部門をどのように設定するのかについて解説しました。今回は、設定した部門(特に学校法人部門)において、収入・支出をどのように計上するのか解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 資金収支内訳表等における収入・支出の把握については、「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)において定められています。250号通知は以下の3点に要約されます。

2017/01/05

内訳表について 1

あけましておめでとうございます。いつも「学校会計のチカラ」をご覧いただきありがとうございます。本年も引き続き皆様の役に立つ情報を連載していきたいと思います。どうぞご期待ください。

 新年第1回目は、資金収支内訳表を中心として、人件費支出内訳表や事業活動収支内訳表等の内訳表の作成について解説したいと思います。

 資金収支内訳表や人件費支出内訳表、事業活動収支内訳表は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)において作成が求められる内訳表ですが、このうち資金収支内訳表の作成の趣旨及び留意点については、「資金収支内訳表について(通知)」(文管振第93号 昭和47年4月26日 文部省管理局通知)において、以下のように述べられています。