2017/10/18

科研費(3)



 10月第3週目の学校会計のチカラは、先週に続き、科研費の経費(間接経費)の取り扱いについて考えていきます。先週の学校会計のチカラでは、直接経費を取り上げていますので、先週と今週の学校会計のチカラを比較しながら考えると相違点がわかります。


1.間接経費
 間接経費は、研究者が獲得した競争的資金に対して、直接経費の一定割合(30%)を研究機関に提供するものです。研究者は、競争的資金を財源とした研究活動を研究機関で行う際、研究機関では様々なコスト(水道光熱費等)が発生します。この研究機関における研究環境整備の費用は、一定程度の負担軽減を行う必要あるため、間接経費として資金提供しているのです。

  また、研究機関では、間接経費を事務費として補填することができますので、学校法人の外部資金獲得の一部になるとも考えられますが、主たる目的は直接経費による研究活動を支えるものに利用します。
 間接経費を受けた研究機関は、このような目的を踏まえて、間接経費を有効活用することが求められます。
 なお、間接経費は、適正な執行と使途の透明性を確保することが要求されており、その使用実績については、文部科学省に報告します。



2.間接経費の使用例
 間接経費は、直接経費による研究遂行に関連して間接的に必要であるものに幅広く使用できます。具体的に、次のような費用が考えられます。


①人件費(研究代表者・研究分担者の人件費として使用することもできる)

②施設費(整備費、管理費等)、設備費(購入費、運用経費等)

③大学等の共用施設の施設整備費、技術職員の配置

④図書館費(施設整備費、維持費、管理の経費等)

⑤共用使用のコピー機・プリンタ消耗品費等

⑥科研費の研究成果に関連する特許出願費用、弁理士費用、審査請求費用

⑦科研費事務補助者の雇用(他に、科研費による研究の応用等のために必要となる研究者、研究支援者の雇用)

⑧関連する大学の共用施設の施設整備、図書館の図書購入のために必要な経費

⑨研究の広報活動費

⑩競争的資金に関する管理事務の必要経費

⑪特許出願費用、弁理士費用、審査請求費用等

3.間接経費の留意事項
 直接経費の対象となるものは、間接経費として使用できません。
 また、経費の執行にあたっては、全く同一の物品の購入であっても、「補助事業の遂行に必要なものとして購入する場合」は「直接経費」により支出し、「補助事業の遂行に関連して間接的に必要なものとして購入する場合」は「間接経費」により支出することになっています。
 いずれの経費で支出するかは、「どのような目的で使用するのか」といった観点から判断する必要があります。次の例が参考になります。

(1)パソコンを購入する場合
  ①科研費の交付を受けた研究課題のデータの分析のために必要なパソコンの場合
    ⇒直接経費で支出


②科研費の経理事務処理のために事務室に設置するパソコン
    ⇒間接経費で支出

(2)図書を購入する場合
  ①科研費の交付を受けた研究課題の研究に必要な図書
    ⇒直接経費で支出

 ②図書館に常備し多くの研究者等の閲覧に供する図書
    ⇒間接経費で支出


4.間接経費の会計処理
  研究代表者等から学校法人に納付された間接経費は、補助金としての性格を有していないため、大科目「補助金収入」ではなく、大科目「雑収入」にて会計処理します。小科目は、「研究関連収入」などの科目を設けることが望ましいです。


<仕訳例>

科研費(間接経費)30万円の入金があった。

(借方)支払資金 300,000 (貸方)雑収入 300,000


【参考文献等】

・科研費ハンドブック2017年度版(文部科学省研究振興局、独立行政法人日本学術振興会)

・科研費FAQ H28.8版(独立行政法人日本学術振興会)

・学校会計入門(齋藤力夫、中央経済社)

・学校法人会計のすべて(齋藤力夫、税務経理協会)

                       
                      
                          永和監査法人
                          公認会計士 佐藤弘章


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